4年生皮膚科講義:伊藤担当分について

2002年1月の講義内容のページを作りました

Q&A追加・・・下の方にあります。
試験が終わってからもらったメール質問のQ&Aも追加!
注意事項を追加
 

試験について
 変更がなければ11月20日(火)13:00〜14:00
今回は記述式
試験内容(伊藤担当分)について
 今のところ私の配点は、37.5点分です。(変更があるかもしれませんが)
今回の問題はとてもやさしい。
ただし、採点は厳しくします。
問題文をしっかり読んで、必要な事柄を解答しましょう。
問題から逸れた記載は減点します。知ってることをいろいろと沢山書いたら、0点になるかもしれません。
 

と書いたのに、

答案の採点は終了しました
 どうして、不要な事柄を沢山書くのでしょう?

 「最も大切なことは何か」と問われた場合には、精々3〜4行で答えるべきで、それ以上の記載は、問題文を理解していないので大幅減点である。内容が正しくても、問題に答えていないことになる。

 へたな字が多い。字の間違いも多い。「圧迫」を「圧追」はダメ・・・・当たり前の話だが。
 「掻痒感」も間違い(参考書でもこれを間違っているのがある)。

試験の採点終了の感想

1.褥瘡については、かなり出来ていた。
 採点は甘くした。
 今回のポイントは、講義でも繰り返した様に「予防が重要」があるかどうか。
 圧迫による局所の循環障害で生じる。ASOのある人は「内腸骨動脈」の閉塞で、重症化することがあると言ったが、これは端々の話。
 仙骨部がほとんど、大転子部、踵部、肩甲骨部など。
 「仙骨」「肩甲骨」などと書いていると皮膚のことではないので減点。「部」を付けてはじめてその部の皮膚であることを表すからである。

2.下肢静脈瘤の治療で「最も」大切なことは、
 当然、1次性静脈瘤か2次性かの鑑別が大切で、2次性では、拡張・蛇行していても、その表在静脈が還流路となっていることがあるので、原則として「手術治療をしてはいけない」というのが正解。
 ・・・最も大切なのが何か判るように書いてなければ大幅減点。
 問題に「不必要な記載は減点する」と書いておいたが、解答内容が正解を含んでいても、5行以上書いてると減点。
 中には、書いてることが全部正しかったのに、半分の点の人もあった。・・・ちゃんと問題文を読まないとダメ。

3.このページの最後の方に記載した。

4.良性腫瘍では、内臓悪性腫瘍と関連して・・・・・ちゃんと試験前にこのページで公開済みだったのに!
 
 
 
 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ここから下は2001/11/27から変更なし。 

下記の内容が、4年生2学期の講義の主な内容です。
内容
皮膚良性腫瘍

動脈性皮膚潰瘍
 糖尿病性壊疽と閉塞性動脈硬化症による皮膚潰瘍

静脈性皮膚潰瘍
 下肢静脈瘤と深部静脈血栓後遺症

褥瘡
 

試験について
問題は4問です。
皮膚良性腫瘍

 皮膚良性腫瘍の範囲で国家試験に出題される事柄はかなり限定されています。
 国家試験対策の参考書を読むと、いかにこの範囲からの出題が少ないか!!
 実際の医療とはまるでちがいます。
 今回は、その両方を満たす内容です。
 もう少し詳しく言うと、皮膚良性腫瘍の中で、他の疾患に関連する病態とか、全身状態に影響することがある場合などが重要です。
 国家試験的にも重要です。

動脈性皮膚潰瘍
 糖尿病性壊疽と閉塞性動脈硬化症による皮膚潰瘍

 この内容については、講義でとても重要なことを話しました。国家試験対策の参考書の範囲を越えた具体的な内容について解説しました。何科の医師になっても重要な事柄です。特に更なる高齢化に伴い必要な知識です。治療についても問います。

静脈性皮膚潰瘍
 下肢静脈瘤と深部静脈血栓後遺症

 この領域は、私の十八番ですので、これまた何回もしっかり解説しました。治療に関することも重要です。講義の内容を理解していれば、驚くほど簡単!。下肢静脈瘤と言っても種類がありますね・・・・・。

褥瘡

 高齢化に伴って重要です。なぜこんな重要なことが書いてない参考書があるのでしょう?不思議です。講義では何人かの人にいろいろ答えてもらいましたね・・・・・。
 
 
 

メールで質問を受け取った場合も、平等になるようにこのページで公開します。
「問題は何ですか」というようなメールはダメです。・・・その必要もないですね。
今回は、試験について、直接私の所に来ての質問には、お答えしません。
他の試験問題担当者の内容については、このページでは公開しません。
 

Q&A

下肢静脈りゅうを放置してうったいせいかいようがおこりやすいのは表在静脈ですか
 うっ滞性潰瘍が生じるのは皮膚!。各表在静脈領域の皮膚に生じることが多い。大伏在静脈系の逆流によるものは、内果上部。小伏在系の逆流で生じるのは外果上部の皮膚に生じることが多い。
 

あとasoは糖尿病性壊疽に合併しやすいですか・またその潰瘍は足部にこうはつしますか
 この質問は言葉の選択ミス
 糖尿病にASO(閉塞性動脈硬化症)が合併する割合は文献や報告によって異なるが、50〜80%。糖尿病性壊疽で重傷ではその割合が高い。
 ただし、糖尿病性壊疽には、狭義の糖尿病性壊疽:糖尿病性神経障害によるもの、と、広義の糖尿病性壊疽:合併するASOによるもの、がある。
 広義の糖尿病性壊疽の皮膚症状は、ASO皮膚潰瘍または壊疽と局所所見で区別できない。

 ASOの皮膚潰瘍も糖尿病性壊疽も多くは足部にみられる。
 

質問だらけですみません  あっ、四年生のテスト範囲で先生はどれが好きですか
 今回の範囲はすべて得意分野です。
 

また問題は括弧ウメですか
 違います。完全記述式。問題の質問内容から逸れた解答は減点します。
 

ライブをかけもちで見れてうらやましいです
 ???
 

下肢静脈瘤について丁寧に載っている本が見つからないので何か参考にできる本があれば教えて下さい。
 いちばん詳しくて正しい教科書は「臨床静脈学」:坂口周吉先生編著・・・専門家向けです。
http://www.veins.co.uk/frames.htm
 このページの解説はすごい。ただし日本語じゃない。でも見て損しないすばらしいページです。
 左にある「How Veins Work」をクリックすると説明が始まります。
 

4学年時定期試験における出題項目 というものを頂いたのですが その中の項目中で伊藤先生の範囲は

  動脈性皮膚潰瘍 
    糖尿病壊疽と閉塞性動脈硬化症による皮膚潰瘍 
  静脈性皮膚潰瘍 
    下肢静脈瘤と深部静脈血栓後遺症
  褥瘡
 
  が挙げられていたのですが 良性皮膚潰瘍についても出題されるんでしょうか?
 「良性皮膚潰瘍」って何ですか?
 皮膚良性腫瘍は、出題します。この範囲の国家試験の過去問は限られた内容しかありませんので、参考書に太字や強調文字で書かれていることを覚えておいてください。
 
 

下肢静脈瘤と深部静脈血栓症の後遺症 という項目ですが
   下肢静脈瘤の後遺症...とは治療による合併症のことでしょうか?
「下肢静脈瘤の後遺症...」という言葉は使ったことがありません。治療による合併症は、「手術合併症」という言葉を使うと思いますし。
 深部静脈血栓後遺症、または、深部静脈血栓症後遺症というのは、講義で話した通りで、足の血液が心臓に戻る血管(静脈)は、正常では深部静脈を介して戻るのがほとんどで、表在静脈系(伏在静脈)はあまり還流路にはなっていない。
 しかし、その主な還流路である深部静脈系に血栓などが出来て詰まった場合は、足の血液は表在静脈を介して戻らなければいけなくなる。
 このために、表在静脈系に圧負荷がかかり、表在静脈の血圧(静脈血圧)が運動時でも高い状態が続くことで、下腿皮膚の腫脹、硬化、色素沈着、潰瘍が生じてくる。これら深部静脈に血栓が出来て起こってくる一連の症状を正しくは「深部静脈血栓後遺症」と呼ぶ。皮膚科の教科書では「下肢静脈瘤性症候群」とか「うっ滞性静脈症候群」とか書いているのがあるが、これは私は不適切な表現であると思っている。
 この内容については、金原出版株式会社から発売の「皮膚科の臨床」の最新号(Vol.43 No.11特集41号2001年10月臨時増刊)の1365〜1369ページに私の論文があります。図書館にあるのでは?
 

先生の講義以来 下肢静脈瘤 というと 検査法の紹介で先生が片足立ちしているスライドが頭に浮かんで離れない...です。
ところであれは 穿刺静脈圧測定ですか??? 
 忘れましょう。片足立ちではなくて、足踏み運動のつもりだった。
 あれは、運動時の穿刺静脈圧測定法をわかりやすく?説明するために撮った写真です。ちなみに写真撮影は夏秋 優です。
 これについては、「皮膚 Vol.37 671〜676ページ、1995年」に、私の論文があります。これも図書館にあるのでは?
 

注意事項
 メールを頂いた内容について上記のようにお答えしましたが、しっかり解説しているからと言って、それが試験問題というわけではありません。

Q&Aの追加(2001/11/27)

いまさら質問ですが、糖尿病性壊疽 と 閉塞性動脈硬化症 の鑑別せよ、という問題の正解は、狭義の糖尿病性壊疽:糖尿病性神経障害によるもの、と、広義の糖尿病性壊疽:合併するASOによるものの両者を比較すれば良かったのでしょうか?
 と試験が終わってからメールを頂きました。
 
 この質問の答えは、「広義も狭義も含む糖尿病性壊疽、と、閉塞性動脈硬化症による皮膚潰瘍の鑑別診断、治療」について簡略に書いていれば正解です。
 メールの主の解答は、糖尿病性壊疽を「神経性=狭義」と「虚血性=広義も含めて」分けて解答していましたので、かなり「いい線」でしたが、足に壊疽があって、一番最初の鑑別点である「足背動脈または後脛骨動脈が触れるか、皮膚温の違い」についての記載が無かったこと、解答の書き方が、見にくい(簡略でない、とは言えないが、簡略である、とも言えない書き方)ものだったので、若干減点したが、まあまあ正解に近い(10点満点中の7点)にしてます。この問題の平均点よりは上でした。
 

患者さん向けの説明のページにリンク
皮膚良性腫瘍
下肢静脈瘤
皮膚潰瘍
物理的障害
外傷
熱傷
褥瘡
 

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