伊藤孝明の
皮膚外科のお話

18.肥満細胞腫(色素性蕁麻疹)mastocytoma (urticaria pigmentosa,mastocytosis)
皮膚を強くこすると線状に蕁麻疹を生じ、かつ皮疹部では特に隆起が著しい。「ダリエサイン」
治療:蕁麻疹に準じた治療。ステロイド投与。摘出術。
幼年型と成人型がある。(成人型はまれ)
幼年型は、生後1年頃までに、じんま疹発作を反複。やがて全身に爪甲大までの紅褐色〜黄褐色の斑状か丘疹が播種状に多発し、豹皮状となる。強くこすると線 状に膨疹を生じ(人工じんま疹)かつ皮疹部において隆起が著しい。これをダリエ徴候(Darier’sign)。
皮膚潮紅とともに、悪心・嘔吐・下痢・鼓腸・腹痛・発熱・心悸亢進・呼吸困難・頭痛・けいれん・意識混濁などの全身症状を呈することあり。
これらの症状は、刺激により、肥満細胞から急激にヒスタミン・ヘパリン・プロスタグランディンD2などが放出されることによる。