伊藤孝明の
皮膚外科のお話
3.粉瘤epidermoid cyst
5mm程度から5cmまで。ほぼ誰にでもできると思う(大小の差はある)。
触って皮下に丸く触れるか、ドーム状に盛り上がることもある。頂部に毛孔(毛穴)の開大があり、嚢腫とつながっていることも多い。
cystというのは正しくは嚢胞であり、中身が液状のものをいい、粉瘤のような充実性(と言ってもアカの塊)の場合は、cystoma(嚢腫)とする方が
正しい様な気がする。
手掌足底にできるものは、外傷やイボと関連してできることあり(釘や小石を踏みつけたために表皮細胞が皮下に迷入してこれから生じる場合や、イボが治った
あと、表皮細胞が皮下に残ることが原因になる)。
治療:嚢腫の完全摘出。・・・内容物の圧出だけでは治らない(患者さんは、切ってもらったから完治するとよく勘違いする)。
感染を伴っているときは抗生剤投与や、炎症を抑えるための切開排膿を行う。切開排膿だけでは絶対治らない。
ごくごくまれに自然吸収や炎症を起こしていると圧出すれば、嚢腫壁ごと出てくることがごくまれにある。
外科医はこれを「脂肪のかたまり」と言うので、患者さんが混乱して説明に困る。垢(アカ)の固まりという方が正しく、潰れて内容が出ると臭い。