伊藤孝明の
皮膚外科のお話

1.脂漏性角化症seborrheic keratosis
通称「セボケラ」「ゼボケラ」。
皮膚が年を取ってきたら誰にでもできる、いわゆる「老人性のイボ」のこと。
中年以降に手掌足底以外の部位では誰でも、どこにでもできるのだが、二十歳台でも出来ることがある。
私も、右手背に30歳台からある。
いろいろな大きさ形態があり、これをひとつの腫瘍としているのが不思議なくらいだ。
問題は、他の皮膚腫瘍、とりわけ黒褐色の濃い場合は悪性黒色腫との鑑別診断が必要で、角化が強いものでは有棘細胞癌との鑑別診断が必要になることがあり、 生検で診断確定しなければならない。
治療は、摘出手術、液体窒素凍結療法。皮膚科で脂漏性角化症と診断がついていれば、放置または経過観察してもよい。
国試に出やすいのは、「レーザー・トレラ症候群(徴候)」で、短期間に脂漏性角化症の多発と皮膚そう痒症を伴う場合をいい、内蔵悪性踵瘍の合併率が高い。