伊藤孝明の
皮膚外科のお話
6.悪性黒色腫(MM) Malignant Melanoma
メラノサイト系の腫瘍 転移しやすく,悪性度の高い腫瘍
「ほくろのガン」と呼ばれているが、ホクロ=母斑細胞母斑から生じるのではない・・・らしい。
好発年齢は40〜70歳代で他の癌より年齢が低い。 極めて希に黒色でない場合がある。
皮膚,粘膜,眼のほか稀に脳軟膜に生じる。
極めて希に原発巣が消退することがある。
日本人の皮膚では、足底に28%、顔面・頭頚部に14%、体幹に13%、下肢に12%。
病型分類(Clark分類)@結節型 A表在拡大型 B悪性黒子型 C末端黒子型
診断で大事なこと:
原則として「病巣内生検をしない」
ダーモスコピー検査が有用
病期分類
tumor thickness(Breslow)
予後:
病期Tでは5・10年生存率は95%
病期Uでは、
〃 約70%
病期Vでは、
〃 約40%
病期Wでは、
〃 約13%
(最近治療成績が向上している)
治療 手術療法(腫瘍摘出+リンパ節生検または郭清)
+化学療法(ダカルバシンDTIC、三者併用療法=DAV)
+免疫療法(インターフェロンβ)
D:ダカルバシン、A:アドレアシン、V:オンコビン
術後は、半年〜1年毎にPET-CTで経過観察することが一般化している。
付 メラノーマと後天性母斑細胞母斑の鑑別点
Asymmetry:非対称性
Border :境界が不規則
Color :色調が多彩
Diameter : 直径が大きい(6mm以上)
E: 炎症・湿潤・出血・違和感、衛星病巣