平成23年度3年生伊藤講義
11月29日(火) 1限目
質問一覧
うおの目を何回も焼いてとっているが、また出来てしま
うので、今は放っているが大丈夫か。
・それは「うおの目」=鶏眼ではなくて、おそらく「足底疣贅」でしょ
う。液体窒素で充分に処置しないと再発する。放っておくと広がるし、ウイルス性だから
他の部位にも生じる。
糖尿病性皮膚潰瘍の予防対策はないか。
・患者さんやその家族への啓蒙活動。家族や医療者・介護者などが、患
者さんの足をよく見てあげることが重要。
血管肉腫のPtは、最初の時にOpeに踏み切っていたら(最初の写真)予後はどれくらい変わるか。3〜4ヶ月か。
・最初に手術をしていたら、もっと小さい手術ですんでいただろうし、
予後はさらに半年ほど延びていたと考えている。
糖尿病にASOを合併した例では、やはり末梢神経障害があるせいで無痛性になりやすいと思った。とういことは、プリント2ページの鑑識がさらに難しいとい
う事か。
・難しくなる場合もある。
11月29日(火)2限目
質問一覧
一般的に皮膚科医がDMや循環器系疾患について理解をもっているのと同じくらいに、糖尿病専門医や循環器科医師は関連する皮膚疾患に対し理解をもっている
のか。
・全国的に見ると、まだまだ一般の皮膚科医が関心を持っているとまで
はいかない。兵庫医大皮膚科は大阪の「皮膚科糖尿病循環障害研究会」や「神戸Podiatry
meeting(足病の会)」のメンバーなので関心があり、患者さんも多いが、近畿圏でも稀な存在かもしれない。糖尿病専門医や循環器科医師は関連する皮
膚疾患についての理解は、私は少ないと思っている。そのために、個人的には糖尿病専門医の集まる学会などで講演したりしている。
DVT左好発の解剖学的理由は。
・解剖学で習った通りで、左の総腸骨静脈は、右の総腸骨動脈に圧迫さ
れるため、正常人でも左総腸骨静脈に狭窄部がある。
なぜ深部静脈血栓症は左に多いのか。
・上記
家族に(中年女性)
「左足(下腿)のむくみ」「左大腿遠位端に圧痛あり」「下腿ふくらはぎにクモの巣状静脈瘤」という者がいる。とりあえず、循環器内科か外科あるいは皮膚科
を受診するようにすすめたが、この判断はあっているか。(未だに受診していないが)
また「とりあえず弾性ストッキング」を履けと言ったが「痛いから」と言って履かない。他になにかないか。
・皮膚科医でも循環器内科医でも、下肢静脈疾患に興味を持つものは少
ない。血管外科か循環器外科を受診するのが、まだ一般的である。ただし、今月発行された日本皮膚科学会雑誌に私達が書いた「下腿潰瘍・下肢静脈瘤診療ガイ
ドライン」が掲載されたので、これからは皮膚科医も興味を持って診療してくれる事に期待している。
硬化療法が何をするのかを聞き逃した。何だったのか。
・小静脈瘤を治療する治療法。
自分はアトピー性皮膚炎だが、なぜ左右対称にできるのか。
・あれれっ、講義の内容に全く関係ないが・・・汗のたまる部位(肘
窩・膝窩・後頸部・臀部)が左右対称に存在するため、と思うが。
全層植皮ではだいたい何日くらいで生着するのか。
・7〜10日くらい。
血管肉腫の手術ビデオにおいて臀部から植皮をしていたが、後に紫斑がでてきたのはなぜか。
・あの紫斑は、血管肉腫の再発。
タイオーバー固定はどうのように固定されているのか。
・このWEBページで紹介している。
さっきの出席カードでうおの目の誤診と言われたが、違う病院で見てもらった方がよいか。
・足底疣贅を鶏眼と誤診しているのではない。足底疣贅と診断している
からこそ、たぶん液体窒素で焼いてくれたのだと思う。その病院で問うてみれば判る。焼きが甘かったのだろう。
下肢静脈瘤と同様のことは上肢では生じにくいのか。心臓に血流が戻りやすいからか。
・下肢静脈瘤と同様の変化は通常、上肢では生じない。理由は上肢は心
臓と同じ高さにあり、静脈還流しやすいため。
下肢静脈瘤によりうっ滞があると感染症を発症しやすくなるか。
・その通り。水虫(足白癬)や爪水虫(爪白癬)の合併は、正常肢より
多い。
2次性下肢静脈瘤は、DVT以外の原因はどんなものがあるのか。
・先天性静脈瘤や骨盤内の腫瘍など。
糖尿病性皮膚潰瘍の治療として、感染部位を腱にそって切り開き洗浄を行うが、どの程度までの切開を行うと良いのか。 少し多めに開くのか。
・最小限の切開で、最もドレナージ出来るように切開する。感染の治癒
後の局所の手術的再建を考えて、皮膚切開の部位を決めている。